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子ども CHILDCARE

生まれ育った村を進化させよう

生まれ育った村を進化させよう

 

私が勤める「まつのみこども園」は、大阪府堺市の田んぼと民家が土地の多くを占める場所にあります。昔の人はここを「平井村」と呼びました。

昭和44年から50年以上も、地域の方々に支えられながら続けてきた園です。そのため、園児の中には、おばあちゃんから3代にわたって通っている子どももいます。現在の園長である私もこのまつのみこども園の出身です。

地域の祭りに携わり、今も自治会の一員である私だからこそ思うことがあり、今回はこの場を借りてこの村のいいところ悪いところ、少し先の未来への展望を「進化」と称し、独断と偏見を交えながら少し考えてみようと思います。

私たちの園がある堺市中区平井の人口は3,301人で、総世帯数は1,456世帯です。(令和5年12月末時点)

年齢別構成比は、~14歳は20.7%(全国11.8%)、15~64歳は64.6%(全国59.4%)、65歳以上は14.8%(全国28.9%)となります。カッコにあるように、全国に比べると比較的若い町と言えるかもしれません。また、だんじりがあることで若者の地域活動への参加率も、祭りがない町と比べると高くあります。

ではなぜ「進化」が必要なのか。

この村が抱えている(と思う)問題は次の2つです。

・祭りに参加していない方の地域自治活動への参加比率が非常に低い。これは祭り関係者による自治会活動への積極的参加によって、「ある程度まかなえている」ことがかえって自治会活動への参加率低下を招いているといえます。また、祭り関係者による排他的な風土もあり、悪循環を招いていました。

・地域内分業による相互扶助、共同体としてのまとまりの崩壊

「祭りの参加者が活発に地域活動を行うのなら、祭りの規模を大きくし、参加者増に努めれば解決するのでは?」と思うかもしれませんが、そううまくも行きません。その理由は、地域内での分業体制の崩壊にあると考えています。昔は酒屋や布団屋、魚屋、農家などある程度までは町の中で賄うことが出来ていました。また、ハレの日である祭りでは大口で注文し、またそのお金や物が町内を循環する、といったような地域経済が存在しました。それが今はうまく機能していない状態といえます。

当時の人々からすれば祭りに参加することが合理的選択として大きく影響を与えていました。これは互恵的利他主義を伴う、「自然村(鈴木榮太郎)」に近い状態にあったのではないかと考えられます。

そして、その地域経済が形をなくし、多くの人が村の外の企業に努めている現在では、祭りへの参加が合理的選択ではなくなり、参加者は年々減少しています。

これからの課題、持続可能なシン・村社会へ前述にある地域特有の問題や、日本全体を包む少子高齢化、核家族化、孤立などあらゆる課題を持つ地域をどのように進化させるのか。そこで、我々社会福祉法人の存在が活きてくるわけです。つながりが薄れ、人々の社会的統合が弱まった今、我々社会福祉法人が鎹(かすがい)となり、発達したICTを有効活用することで、シン・村社会の構築を目指したいと思います。

ちなみに地域の方から寄贈された園のだんじりもあります。こども達も毎年、「そーりゃー!」と気合を入れて曳いています。

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PROFILEプロフィール

名前 石川 経祐
法人名 社会福祉法人南湖会
WEB https://matsunomi-kodomoen.jp/

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